【階段】とは、高度の異なる地点への移動を目的とした人工物である。 人は慣習的に階段を使用し、その目的を無意識に達成している。 特に下り階段とあらば、一歩踏み込めば意識せずとも足が進んでしまう。 「すでにその事は、あなたの体が解っているから。」 |
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徐々に見えなくなる水中階段は、不安を誘う。 不安は一歩ごとに脳を侵食し、恐怖の塊りを産む。 |
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でも、あなたの足は止まらない。 同じ速度で水中へと歩く。 |
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この先には階段は無いのかもしれない。 いや、もっと続いているのかもしれない。 そんなことをあなたの足は考えないから。 |
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木製階段の手招き。
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美しさの奥底に恐怖が伸び続ける。
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「手すり」が見えてしまうと悪夢から覚める。
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しかしそれをも利用されれば 恐怖に打つ手は無い。 |
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こんなのに掴まったところで
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自然岩を切り込んだ階段。 創世主に勝る悪魔の造作。 |
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逆の例。 構造上、2歩までだろうと予測が付いているのに、確かめたくて3歩踏み込んでしまう。 恐ろしき闇の手招き。 |
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階段脇の丸い筒は「余水吐」と言い、
水位をここで食い止める仕組みだ。 残忍な意図で造られた恐怖。 |
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水面にゆらぐ現実など虚構。
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果てしなく空に、果てしなく闇に、
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体を何処まで連れて行くつもりか。
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