水中への階段 恐怖編①

【階段】とは、高度の異なる地点への移動を目的とした人工物である。
人は慣習的に階段を使用し、その目的を無意識に達成している。
特に下り階段とあらば、一歩踏み込めば意識せずとも足が進んでしまう。

「すでにその事は、あなたの体が解っているから。」




徐々に見えなくなる水中階段は、不安を誘う。
不安は一歩ごとに脳を侵食し、恐怖の塊りを産む。




でも、あなたの足は止まらない。
同じ速度で水中へと歩く。




この先には階段は無いのかもしれない。
いや、もっと続いているのかもしれない。

そんなことをあなたの足は考えないから。




木製階段の手招き。



美しさの奥底に恐怖が伸び続ける。



「手すり」が見えてしまうと悪夢から覚める。



しかしそれをも利用されれば
恐怖に打つ手は無い。




こんなのに掴まったところで



自然岩を切り込んだ階段。
創世主に勝る悪魔の造作。




逆の例。

構造上、2歩までだろうと予測が付いているのに、確かめたくて3歩踏み込んでしまう。
恐ろしき闇の手招き。




階段脇の丸い筒は「余水吐」と言い、 水位をここで食い止める仕組みだ。
残忍な意図で造られた恐怖。




水面にゆらぐ現実など虚構。



果てしなく空に、果てしなく闇に、



体を何処まで連れて行くつもりか。


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